カサンドラ症候群から抜け出す方法はあるの?

 

 

 

 

カサンドラ症候群とは (ここでは、特に夫婦関係について説明します)

  

カサンドラ症候群とは、医学用語ではありません。ある特定の「状況」や「現象」に対する名称と考えて下さい。
「空気が読めない」「言葉の裏が読めない」「行間が読めない」「10話しても3しか通じない」「提案やアドバイスを、すべて指示や命令と受け取る」など、自分の配偶者が生まれ持った発達障害特性により、コミュニケーションにおいて、女性にとって最も重要な“共感”を得ることができず、心がカラカラに乾いて疲弊してしまい、過呼吸や焦燥感の他、片頭痛、恐怖症、不眠症などの様々なうつ症状に悩まされる状態のことを言います。

構造としては、認知症の人を介護している人が適切なサポートを受けられずに「介護うつ」になるのとほぼ同じです。
※更に詳しく知りたい方は、Wikipediaなどをご参照ください。

 

 

ギリシャ神話の女神 カサンドラ
ギリシャ神話の女神 カサンドラ

 

 

 

 

 

◆カサンドラ症候群から抜け出すためには


心身ともに参ってしまっている場合、一番手っ取り早い方法は、発達障害特性を持つ夫から物理的に離れることです。

つまり、「数ヶ月間旅に出る」「しばらく実家に帰る」「思い切って別居する」「諦めて離婚する」など、色々な方法が考えられますが、実際にはどれもこれも、簡単にできることではありません。

 

 

 

 

 

そこで、私が提案するのは、逃げ場を確保しておくこと。

発達障害特性のある夫がパニックを起こしたとき、あるいは、自分自身がひどいうつ症状に悩まされたときに逃げ込める場所があると思うだけで、ずいぶん気持ちが楽になるのではないでしょうか。

 

ある発達障害の専門書に、暴言や暴力を伴うようなパニックを起こす発達障害特性を持つ配偶者や子供を持つ家族に対し、「パニックが起きたときには、3日間ほど外泊することを勧めることもある」と書かれていましたが、定型発達者側の心身の安全が守れないような場合には、パニックを起こしている人から離れる必要があります。

 

これは、フリーズするタイプのパニックを起こす配偶者と暮らす場合でも、妻が息をすることができないほどのストレスを抱えてしまうようであれば、やはり数日間でも離れて過ごすというのが一番だと思います。

 

ご存知のように、パニックはいずれ治まります。

通常の平静な状態に戻るまでのしばらくの間、私たちの方がその場から離れるということが、(残念な選択かもしれませんが)お互いにとってプラスに働くことがあります。

 

避難場所は実家でも良いですし、理解のある友人宅や、電車ですぐに行ける激安宿など、「いざというときは、ここへ逃げ込もう」という場所を確保しておくことをお勧めします。

もし、お金に少し余裕があるのなら、1~2万円台で借りられるワンルームを契約しておくのも良いと思います。

 

 

 

 

具体的な方法をお知りになりたい方は、予約時に申し出てください。お目にかかった際、詳しい方法についてお話しさせて頂きます。

また、上記のような手っ取り早い物理的な解決方法だけでなく、安喜蓮華はカサンドラ症候群から抜け出す様々な方法を研究し、独自のメソッドを開発致しました。それは、精神科や心療内科で処方される薬に依存せず、自らの持つ力を引き出すことによって、カサンドラ症候群の辛い症状を軽くするという方法です。あなたの状況を見ながら、簡単で、かつ効果的な方法を伝授させて頂きます。

 

 

 

 

 

◆ドメスティックバイオレンスとASD(自閉スペクトラム症)

 

私の場合は、結婚生活において、特に“暴力(身体・言葉・経済)”の被害に繰り返し遭いました。

普段の夫は、見た目もとても感じがよく、穏やかで優しくてとても親切な人(虫も殺せません)ですから、まさか暴力をふるわれることになるなんて、結婚前は考えたこともありませんでした。

 

 

 

 

もちろん、大半の発達障害の方々はパニックを起こしたとき、いわゆる“フリーズ”の状態に陥ることが多いようなのですが、何パーセント(*)かの方々は暴力的になってしまうことが報告されています。
*暴力的な反応を示す発達障害の方々は、そもそも診断を受ける機会が得られないことが多いため、正確な統計結果が存在していませんが、40%程度ではないかといわれています。

 

夫の本性を全くご存知ない、よその奥さまたちは「優しそうなご主人で羨ましいわ~」などと、私の心を苦しめることをよくおっしゃっていましたが、その都度私は「じゃあ、代わって差し上げましょうか? 私がどれほどの苦しみを抱えて生活しているのか経験したいとおっしゃるのなら…」と言いたい気持ちをグッと抑えることで精一杯でした。きっとあなたも、同じ経験をしておられることでしょう。

 

我が家の場合は、新婚1年目から暴力が始まりました。

発達障害特性の1つである“冗談が通じない”という特性が原因だと考えられますが、私の冗談を真に受けた夫は本気でキレてしまい、私は耳鳴りがして数日間痛みが取れないほどの強さで頭を叩かれたのですが、それをきっかけに、その後何度も暴力をふるわれました。

 

 

 

 

あまりにも多くて書き切れませんので、いくつか主だったものを挙げますと、
①家の外で、靴を履いたまま蹴り倒す(内出血・全治2週間)
②床の上に押し倒し、胸の上に馬乗りになり両手で首を絞める
③両手首・両足首を1本の電気コードを使って物凄い力で縛りあげ、動けなくしたまま放置する(現在でも後遺症が残っています)


身体的暴力以外にも、
① 満員のエレベーターやエスカレーター、飲食店内などで、大声で怒鳴り散らされる
② 会社員として勤めているのに、生活費を渡さない
③ (事実に基づかない)私を貶めるための「作り話」を言いふらす
……などなど、様々な身体的・精神的・経済的暴力をフルコースで受けてきました。

 

頻繁に暴力を受けていた当時は、夫が発達障害の特性を持っていることを知らなかったため、これらの暴力が発達障害に由来するパニック症状だと理解することができず、本当に悩み苦しみました。

  

 

 

 

したがって、安喜蓮華は、DV被害に遭っておられるカサンドラ症候群の方々への共感・理解も可能です。
(一般的なDVの場合は、ハネムーン期 ⇒ 蓄積期 ⇒ 爆発期 というサイクルを繰り返しますが、我が家の場合は、「俺が悪かった。もう2度としないから…」という反省(ハネムーン期)は全くなく、「暴力は悪いことだってわかってる。でも、暴力をふるった俺は悪くない。暴力をふるわせたお前が悪い」という言葉を繰り返すばかりでした。

 

まだ「発達障害」という言葉を知らない頃、私はDV関連の専門書を読みあさっていたのですが、どの本にもハネムーン期のないDVについての記述は見つかりませんでした。しかし、2016年に発売された『夫がアスペルガーと思ったとき、妻が読む本』の中で、「夫が激しい暴力をふるい、その後、甘えた謝罪によって以前より親密になる、いわゆるハネムーン期はまったく見られません」と、ようやく、ハネムーン期のないDVについての記述がなされました)

 

 

 

私は「発達障害」という言葉に出合うまでは、「夫は多重人格障害?」「統合失調症?」など、様々な病気を疑いましたが、最終的に「若年性認知症なのではないか?」と考えていました。あなたも、そのように思われたことはないでしょうか?

 

定型発達者と発達障害特性のある人との間で、「言った、言わない」で揉めるのは日常茶飯事。我が家でも、あまりにこの手の揉めごとが多かったため、私は本気で「家中に隠しカメラを設置しようか?」と考えたこともあるほどです。

 

発達障害特性のある人たちは、“自分の興味のない話題や情報については、長期記憶に達さない”という特性があるので、2~3分前に話したことすら覚えていないことも多く、私たちからすれば「記憶障害」のように見えてしまいます。我が家の場合はその他にも、丸々1日の記憶がすっぽり抜け落ちることも度々あったため、「発達障害」という知識がない頃は、「え、認知症??」と疑ってしまったわけです。

 

私は「発達障害」という言葉と出合う前に、セミナーに参加したり、専門書を読んだりして、「認知症」の勉強をしていました。

その後、発達障害についての研究を始ましたが、実は、認知症の症状とアスペルガーの症状は、類似していることが多いのです。

また専門書で、「認知症の人には、こういうふうに対応しましょう」と書かれている内容と、「発達障害の人には、こういうふうに対応しましょう」と書かれている内容とは、驚くほど似ています。

 

発達障害は「前頭前野」「扁桃体」「海馬」「側頭葉」などに委縮や機能不全がみられることがわかっています。

中でも「海馬」というのは記憶をつかさどる部分で、認知症でもよく耳にする部分ですが、ここに問題があることによって、発達障害でも記憶についての問題がたくさん生じているように感じます。

  

また、最近の研究では、“暴力的な行動”をする人たちの脳には、損傷が見られるということがわかってきたようです。まだまだ研究途中のことですので「断定」することは憚られますが、やはり、暴力と脳の損傷とは関係があると推測されます。認知症、発達障害、高次脳機能障害、薬物中毒など、一部の人に暴力的な行動が見られる病気や障害は、「脳」に問題があるものが多いのです。

 

原因が「障害」に起因していたとしても、暴力は決して許されるものではありません。

 

私自身、行政のDV相談窓口を初め、警察など様々な機関への相談経験が豊富ですので、効果的な相談の仕方なども含めたアドバイスが可能です。夫の発達障害特性によるDVが原因で、カサンドラ症候群の症状が悪化している場合もありますので、こういった悩みをお持ちの方は是非ご相談下さい。

 

 


◆発達障害者支援センターについて


2005年に「発達障害者支援法」が施行されたと同時に、全国の自治体に設置されました。私も、夫のことを相談しに行ったことがあります。相談員の方々は、多忙を極めておられるにもかかわらず、本当に一生懸命仕事をして下さっています。

しかしながらこの施設は、主に「発達障害当事者」及び「発達障害児を育てているご家族」のための機関であって、カサンドラ妻のための救済機関ではありません。つまり、カサンドラ妻たちは、場合によっては傷つく可能性がある施設だという認識を持たれた方が良いと思います。

 

発達障害者支援センターのホームページには、「発達障害者本人とそのご家族のための相談機関」というようなことが書かれていたために、私も相談に行きました。しかし、私を担当して下さった方がたまたまなのか、他の方でも同じなのかはわかりませんが、私には「弱者救済!」「人権擁護!」という正義感を強く持ってお仕事をされているように感じました。

そのお考え自体は大変素晴らしいものだとは思うのですが、こういうお考えを持っておられるということは、つまり、発達障害夫の特性が原因でうつ症状を発症している配偶者の立場に立つのではなく、発達障害者側に立って発言されるわけです。そうすると、カサンドラ症候群に苦しんでいる妻の方が、さらに傷つけられることもあるのです。

 

実は、私が初めて発達障害者支援センターに伺ったとき、相談員の方に対して少し“違和感”を覚えました。それは、私に備わった“第六感”のようなものでしたが、その後、やはりその勘が当たっていたことがハッキリする出来事がありました。詳しくはお話できませんが、要するに、個人情報の取り扱い方に問題があったのです。


不信感を覚えた私がこの機関について調べたところ、発達障害者支援センターというのは、自治体が直接運営しているわけではなく、それぞれの自治体が、それぞれの裁量でNPO法人や福祉団体に業務委託しているということがわかりました。つまり、相談員の方々は民間の職員であって、公務員ではなかったわけです。(自治体で確認したところ、業務委託とはいえ、公的機関で仕事をしている以上、発達障害者支援センターの職員は、公務員に準拠する形となっているとのことでした)


事前に、「相手は公務員ではないので、個人情報の取り扱いについては信用してはいけない」という知識があれば、問題は生じなかったかもしれませんが、私自身、辛い思いをすることとなってしまいました。すべての相談員の方が同様の人間性でないことを祈りますが、あまり信用しすぎないようになさった方が良いのではないかと思います。